乳歯が抜けない…永久歯が生える前に知っておきたい対処法

皆さん、こんにちは!イオンモール柏の向かいにあるウィズ歯科クリニックの日本小児歯科学会専門医の根本です。
お子さまの成長とともに訪れる「乳歯の生え変わり」は、多くの保護者の方にとって楽しみな瞬間です。しかし、中には「乳歯が抜けない」「永久歯が生えてこない」といったケースがあり、不安を感じる方も少なくありません。乳歯と永久歯にはそれぞれ生える時期や順序があり、個人差はあるものの、大きく遅れる場合には注意が必要です。本記事では、乳歯と永久歯の生える時期、抜けない・生えない理由、生え変わりが遅い原因、そして放置した場合の影響や適切な対処法について、歯科医師の視点から詳しく解説します。
1. 乳歯と永久歯が生える時期

◎乳歯の生える時期
乳歯は、一般的に生後6〜8か月頃に下の前歯から萌出が始まります。その後、上下の前歯から奥歯へと順に生え、約2歳半〜3歳頃までに上下合わせて20本が揃います。萌出の順序や時期は個人差がありますが、これは全身の発育スピードや遺伝的要因、栄養状態などが関係しています。
乳歯は単に食物を咀嚼するだけでなく、発音の明瞭さや顔貌の形成にも関与します。さらに、顎の成長に合わせて適切な位置に存在することで、後から生える永久歯の萌出スペースを確保し、歯並びのガイドとなります。したがって、乳歯が正常な時期に生え、自然な順序で抜けることは、永久歯列の健康的な形成に不可欠です。
◎永久歯の生える時期
永久歯の萌出は、およそ6歳頃に最初の大臼歯である「6歳臼歯(第一大臼歯)」と下顎中切歯が現れることで始まります。6歳臼歯は乳歯の奥に新しく生えるため、保護者の方が気づきにくく、むし歯になりやすい歯の一つです。
その後、前歯から順に置き換わり、10〜12歳頃に第二大臼歯が生えて上下左右28本の永久歯列が完成します。親知らず(第三大臼歯)は18〜24歳頃に萌出することもありますが、現代人では顎のスペース不足により萌出しないことも少なくありません。
永久歯の萌出時期には、男女差(一般に女子は男子よりやや早い)、体格、全身疾患、局所的な要因(歯胚の位置や顎骨の成長度)など多くの因子が影響します。そのため、平均的な12歳前後という目安より遅れる場合でも、必ずしも異常とは限らず、定期的な歯科検診で経過を確認することが大切です。
2. 乳歯が抜けない・生え変わりが遅い原因

① 永久歯の萌出遅延
永久歯の歯胚が正常に存在していても、周囲の顎骨や歯茎(歯肉)の状態によって萌出時期が遅れることがあります。特に骨が緻密で硬すぎる場合や、歯冠の萌出方向が垂直ではなく斜めに向いている場合、萌出経路が確保されず乳歯が長期間残存します。また、全身的な成長発達の遅れや内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)も萌出遅延の一因となります。定期的な歯科検診と必要に応じたX線検査により、萌出の進行度を評価することが大切です。
② 永久歯の位置異常・埋伏
永久歯が本来の萌出経路から外れ、顎骨内で位置異常を起こしている場合や、完全に骨や歯肉の中に埋まっている状態を「埋伏歯」と呼びます。原因としては、歯胚の形成位置異常、乳歯や過剰歯による萌出スペースの不足、外傷による歯胚の変位などが挙げられます。このような場合、永久歯は乳歯の直下に位置しないため、乳歯の根の吸収が進まず、自然脱落しにくくなります。早期発見にはパノラマX線やデンタルX線が有効です。
③ 乳歯の根の吸収不全
通常、永久歯が萌出する際には、その圧力や歯根吸収細胞(破歯細胞)の働きによって乳歯の根が徐々に吸収され、歯冠だけが残った状態で自然に脱落します。しかし、永久歯の位置や角度が異常で根に接触しない場合、破歯細胞が活性化せず、吸収がほとんど起こらないことがあります。これを「歯根吸収不全」といい、自然な生え変わりを妨げる要因となります。
④ 永久歯の先天性欠如
永久歯そのものが先天的に存在しない「先天性欠如」では、乳歯が長期的に残存します。残存乳歯は時間とともに咬耗や摩耗が進み、歯冠が低くなったり、むし歯や歯周病にかかったりするリスクが高まります。場合によっては、乳歯の脱落後にスペースが失われ、隣在歯が傾斜することで噛み合わせに悪影響を及ぼすこともあります。そのため、歯列全体の成長予測を含めた長期的な管理計画が必要です。
3. 乳歯が抜けないことによる永久歯への影響
乳歯が自然に脱落せずに残存した状態で永久歯が萌出すると、以下のような影響が生じる可能性があります。
◎歯並びの乱れ(叢生・捻転)
永久歯は本来、乳歯が抜けたスペースに沿って萌出します。しかし乳歯が残っていると萌出経路が妨げられ、永久歯は歯列の外側や内側、あるいは傾いた位置に生えることがあります。この結果、叢生(歯の重なりやガタつき)や捻転(歯の回転)が起こり、将来的な矯正治療の必要性が高まります。
◎噛み合わせ(咬合)の異常
部分的に乳歯と永久歯が二重に並ぶことで歯列の高さや位置に不均衡が生じ、上下の咬合接触が乱れます。これにより咬頭干渉(特定の歯だけが強く当たる状態)が起こり、顎関節や咀嚼筋への過剰な負荷がかかることがあります。長期的には顎関節症の一因にもなり得ます。
◎むし歯や歯周病(歯肉炎)のリスク増加
歯列が乱れることで歯ブラシやフロスが届きにくい部位が増え、プラーク(歯垢)が停滞します。乳歯はエナメル質が薄く、永久歯は萌出初期に石灰化が不十分なため、双方とも酸に対して脆弱です。そのためむし歯や歯茎の炎症(歯肉炎)が短期間で進行する可能性があります。
◎発音や咀嚼機能の低下
前歯部の生え変わり異常は、サ行やタ行などの発音時に舌の位置が安定せず、構音障害の原因になることがあります。また、上下前歯での食物のかみ切りが不十分になり、咀嚼効率が低下します。これは偏食や消化不良につながる可能性もあります。
このように、乳歯の残存は単に「見た目の問題」だけでなく、咬合機能・顎関節・口腔衛生・言語発達といった多方面に影響します。早期に歯科でレントゲン検査を行い、永久歯の位置や萌出方向を確認することが予防的介入につながります。
4. 乳歯・永久歯が生えないことでお困りの方へ

お子さまの乳歯や永久歯がなかなか生えてこない、あるいは乳歯が抜けないまま残っていると、「このままで大丈夫なのか」と不安になる保護者の方は少なくありません。生え変わりには個人差がありますが、場合によっては永久歯の萌出位置の異常や先天性欠如など、専門的な対応が必要なこともあります。当院では、小児歯科診療に力を入れ、レントゲン検査や口腔内の成長評価を通じて原因を丁寧に診断し、お子さまに合った最適な治療・経過観察をご提案します。気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
乳歯が抜けない、永久歯が生えない場合には、成長の個人差による一時的な遅れと、歯や顎の構造的な問題が原因の場合があります。長期間放置すると歯並びや噛み合わせの不調、むし歯リスクの増加など、将来的な口腔環境に悪影響を及ぼすこともあります。気になる場合は、早めに歯科医院でレントゲンを含めた検査を受け、原因に応じた適切な対応を行うことが大切です。お子さまの健やかな歯の成長を守るため、定期的な歯科受診を習慣にしましょう
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