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口がポカンと開いている?お口ポカンの原因と歯並びへの影響

皆さん、こんにちは!イオンモール柏の向かいにあるウィズ歯科クリニックの日本小児歯科学会専門医の根本です。 

近年、口を閉じずにポカンと開いたままの状態で過ごす「お口ポカン」のお子さまが増えています。保護者の方が「なんだか口がいつも開いている」と気づき、心配されて来院されるケースも少なくありません。お口ポカンは単なる癖に見えるかもしれませんが、放置すると歯並びや発音、さらには全身の健康にまで影響を及ぼすことがあります。この記事では、口唇閉鎖不全症とも呼ばれるこの状態の原因や影響、具体的な治し方までをわかりやすく解説いたします。お子さまの健やかな成長のために、今一度「お口ポカン」について正しく知っておきましょう。

お口ポカンとは? 〜口唇閉鎖不全症の可能性〜

「お口ポカン」とは、無意識のうちに口が開いたままの状態が常態化していることを指します。通常、人はリラックスしているときでも自然と口を閉じて鼻呼吸をしていますが、お口ポカンの状態では口唇を閉じる筋力が不足している、または口呼吸が習慣化しているため、口が閉じられない状態が続きます。

このような状態を医学的には「口唇閉鎖不全症」と呼びます。これは、口をしっかり閉じるための筋肉(口輪筋)の発達不足や、舌の位置異常、鼻づまりなどが原因で、意識していないと口が閉じない状態を指します。

口唇閉鎖不全症は成長過程にあるお子さまに多くみられますが、早期に対応しないと、歯列や顎の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

お口ポカンの原因は?

お口ポカンの主な原因としては、以下の4つが挙げられます。

舌の位置異常(低位舌)

お口ポカンの大きな要因として挙げられるのが「低位舌」、すなわち舌が本来あるべき位置よりも下がっている状態です。通常、安静時には舌先が上顎前歯の少し後方、いわゆる「スポット」と呼ばれる位置に軽く接触し、舌全体が上顎に吸着するように存在するのが理想的です。この舌の正しい位置は、鼻呼吸の維持、歯列への適切な内側からの圧力、嚥下時の協調運動に関与します。しかし、低位舌では舌が常に下に落ちているため、口唇を自然に閉じることが難しくなり、結果としてお口ポカンの状態が常態化します。さらに、低位舌は上顎の発育不全や開咬などの不正咬合とも関連があるとされています。

鼻呼吸の障害(アレルギー性鼻炎・扁桃肥大)

慢性的な鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、あるいはアデノイド肥大や扁桃肥大といった耳鼻咽喉科的な問題によって、鼻呼吸が困難になると、代償的に口呼吸が習慣化します。口呼吸は舌の低位化を招くだけでなく、唇や頬の筋肉が弛緩しやすくなり、結果として口が開いたままの状態が定着します。また、口呼吸により口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の抗菌作用が低下して、むし歯や歯肉炎のリスクが高まります。特に成長期のお子さまにおいては、呼吸様式の異常が顎顔面の発育に大きく影響するため、早期の対応が重要です。

口唇・口腔周囲筋の筋力低下

口を閉じるためには、主に口輪筋を中心とした口唇周囲の筋群が適切に働く必要があります。しかし、咀嚼や発語の機会が少なかったり、柔らかい食事ばかりに偏っていたりすると、これらの筋肉が十分に発達せず、口唇閉鎖力が弱くなります。近年の研究では、現代の食環境や生活様式が咀嚼回数を著しく減少させており、それが口唇閉鎖不全症の一因とされています。筋力が低下していると、無意識下でも口を閉じ続けることが難しくなり、お口ポカンの状態が習慣化してしまいます。

悪習癖(指しゃぶり・頬杖・うつぶせ寝 など)

小児期にみられる悪習癖も、お口ポカンの形成に深く関与しています。たとえば、長期間にわたる指しゃぶりや舌突出癖、頬杖、うつぶせ寝は、口腔周囲の筋肉バランスを崩し、舌の位置を低下させる要因になります。これにより、前歯が前方に傾斜する「上顎前突」や上下の歯がかみ合わない「開咬」といった不正咬合を誘発しやすくなります。特に、うつぶせ寝は顎に強い外力が加わるため、舌の安静位の変化や顎の非対称な発達を引き起こすこともあり、注意が必要です。これらの癖は、長期的に見ると口呼吸や発音異常にもつながるため、早期の指導が求められます。

お口ポカンにはどんな影響がある?

お口ポカンを放置していると、次に挙げるような悪影響が生じかねません。

歯並び・噛み合わせへの影響(不正咬合の形成)

お口ポカンの状態が継続すると、口唇が閉じられていないことで前歯への外的な保護圧(口唇圧)が弱まり、前歯が前方へ傾斜しやすくなります。その結果、上顎前突(いわゆる出っ歯)や、前歯が噛み合わず隙間が空いたままになる開咬(かいこう)といった不正咬合の原因になります。加えて、舌の低位化があると、舌から内側への持続的な圧力が加わるため、歯列全体が外に拡がり、歯の位置異常が助長されることもあります。特に成長期のお子さまにおいては、顎の発育が未成熟なため、こうした力の影響を受けやすく、将来的な矯正治療が必要になるケースも少なくありません。

顔貌への影響(アデノイド顔貌の形成)

お口ポカンを長期間放置すると、口呼吸による筋機能のアンバランスが顎顔面の発育に影響を及ぼします。特に、鼻呼吸が障害されている状態では、舌が本来の上顎側に位置せず低位化しやすいため、上顎の横方向および前方への正常な拡大が妨げられます。これにより、狭窄した上顎歯列弓や、相対的な下顎の後退といった骨格的な問題を招き、「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴的な顔つきが形成されやすくなります。これは、鼻下長が長く、上唇が薄く、口元が突出し、顎が小さいという特徴を持ち、心理社会的な影響にも配慮が必要な場合があります。

むし歯・歯周病リスクの上昇(口腔乾燥による影響)

お口ポカンの多くは口呼吸を伴っており、この呼吸様式は唾液の分泌と分布に悪影響を与えます。口腔内が乾燥することで、唾液が本来果たす自浄作用や緩衝作用、抗菌作用が低下し、むし歯や歯肉炎・歯周炎といった疾患のリスクが顕著に高まります。特に唾液の抗菌ペプチドや免疫グロブリンA(IgA)の機能が弱まると、歯周病原菌の定着や増殖が進みやすくなります。また、歯肉が慢性的に乾燥することで、炎症が生じやすくなり、歯茎の赤みや腫れ、出血といった症状を引き起こす場合もあります。

発音や食事への影響(口腔機能発達不全症)

口唇・舌・頬・顎の筋力や協調運動が不十分であると、発音や摂食嚥下にも悪影響が出ます。舌が本来の位置に置かれていないと、「サ行」や「タ行」など舌尖音の明瞭性が低下し、構音障害を引き起こす可能性があります。また、舌や口唇の筋肉が未発達なことで、食塊の形成が不十分となり、咀嚼効率が落ちたり、飲み込むタイミングが掴めなかったりするなど、摂食嚥下機能の発達障害につながるケースも見受けられます。こうした状態は、医学的には「口腔機能発達不全症」と呼ばれ、早期の評価と介入が必要です。

お口ポカンの治し方

最後に、お口ポカンの治し方をご紹介します。

① りっぷるくんを使ったトレーニング

「りっぷるくん」は、口唇閉鎖力を高めるための専用トレーニング器具です。お口にくわえて引っ張るというシンプルな動作で、口輪筋を集中的に鍛えることができます。お子さまでも使いやすく、楽しみながら取り組めるのが特長です。1日数回、継続的に行うことで、自然と口を閉じる力が身についてきます。

② 舌の位置を正すトレーニング(ポスチャートレーニング)

舌の正しい位置(スポット)を意識するトレーニングを行います。例えば、「舌を上あごの前歯の裏につける」「舌でパチンと音を鳴らす」などの方法があり、これを習慣化することで正しい舌の位置を覚えられます。

③ 鼻呼吸の習慣化

鼻づまりがある場合には、耳鼻科的なアプローチが必要です。アレルギー性鼻炎などの治療を行うことで、鼻呼吸がしやすくなり、お口ポカンの根本的な改善につながります。鼻呼吸ができるようになったら、意識して鼻で呼吸する練習も効果的です。

④アデノイド切除

お口ポカンの原因がアデノイド(咽頭扁桃)の肥大にある場合、耳鼻咽喉科での診察が重要です。肥大したアデノイドは鼻呼吸を妨げ、慢性的な口呼吸を引き起こすことがあります。呼吸障害や睡眠時無呼吸を伴う場合は、医師の判断のもとアデノイド切除術が検討されることもあります。手術により鼻呼吸が改善されれば、お口ポカンの根本的な改善につながるケースもあります。

⑤生活習慣の見直し

柔らかいものばかりではなく、噛み応えのある食材を取り入れることで、自然と口周囲の筋力が育ちます。また、指しゃぶりやうつぶせ寝などの悪習癖がある場合には、早めに改善するようサポートしてあげましょう。

⑥専門的な指導・MFT(口腔筋機能療法)

歯科医院ではMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれる専門的な指導を受けることができます。これは、口唇・舌・顎などの筋肉を正しく機能させるための包括的なトレーニング法で、矯正治療と併用することでより高い効果が期待できます。

まとめ

お口ポカンは、見た目の問題だけでなく、歯並びや発音、全身の健康にも関わる重要なサインです。原因には舌の位置異常、口唇の筋力不足、口呼吸などがあり、放置するとさまざまな悪影響が及ぶおそれがあります。日常生活の見直しや「りっぷるくん」などのトレーニング器具を活用することで、改善が期待できます。お子さまの「お口ポカン」が気になる場合は、早めに歯科医院へご相談ください。専門的なアドバイスとトレーニングで、健やかな口元と歯並びを育てましょう。

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