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要注意乳歯とは?学校の歯科検診で指摘されたらどうしたらいい?

こんにちは。イオンモール柏向かいにある、ウィズ歯科クリニック歯科医師小川です。

こどもの口内を歯鏡で確認している

毎年春頃に、学校での歯科検診が実施されます。検診結果を見ると「要注意乳歯」と記載があって、不安に思う親御さんも多いでしょう。「×」という記号や「要注意」という言葉から、かなり危険な状態なのではないかとイメージしてしまいますが、安心してください。「要注意乳歯」とは「そろそろ抜いたほうがいい歯ですよ」という意味の検診用語です。

この記事では、要注意乳歯の特徴と対処法について詳しく解説します。お子さんの検診結果を見て疑問に思う方は、ぜひ参考にしてください。

要注意乳歯とは

不安な表情で歯科の椅子に座っている女の子

検診結果に書かれている「要注意乳歯」とは、そのあと生えてくる大人の歯(永久歯)のために、そろそろ抜いたほうがいい乳歯のことです。主に次のような乳歯の場合に指摘されます。

 〈要注意乳歯の特徴〉

・揺れが大きく、抜けそう

・乳歯の横から永久歯が生えてきている

・本来抜けるべき時期より、かなり遅くまで残っている

・抜けた乳歯の欠片が残っている

・乳歯が割れた状態になっている

要注意乳歯をそのままにしておくと、永久歯に生え変わったときの歯並びに影響する恐れがあります。また、グラグラしているのになかなか抜けない歯は、噛みにくさや歯磨きのしにくさにつながり、日常生活に支障が出ることも考えられます。さらに、グラグラした歯が残っていることで、生えたばかりの永久歯の清掃がしにくく、虫歯になってしまうこともあるでしょう。

要注意乳歯は乳歯だけでなく、永久歯への悪い影響が考えられるため、検診でお知らせしているのです。

学校歯科検診の結果の見方

赤ペンでチェックが書かれている

学校の歯科検診でチェックされる項目と結果の見方は、次のとおりです。

検診でチェックされる項目

歯科検診では、主に次の項目を歯科医師が確認します。

〈歯科検診チェック項目〉

①歯(虫歯・形態の異常・抜いたほうがいい乳歯)

②歯茎(歯肉炎の有無)

③歯垢

④顎関節症

⑤歯並び

学校での歯科検診は、治療が必要かもしれないお子さんとそうでないお子さんにふるい分けるために行われます。口の中について怪しいところがあった場合に、歯科医院への受診を促し、重症化を防ぐのです。

要注意乳歯以外の検診で記載される記号

歯科検診の結果には、アルファベットや記号が書かれています。歯科検診では記号で歯などの口の中の状態を詳しく記録しているのです。ここでは、検診結果に記されるアルファベットや記号が何を表しているのか解説します。

歯に関わる項目

CO(要観察歯)

初期の虫歯が疑われます。

初期の虫歯は痛みがないため、本人は気づかないことが多いでしょう。初期虫歯になりかけている歯は、表面が白く濁った状態や薄く茶色になっているのが特徴です。そのまま放置すると虫歯が進行して、穴が空いたり、痛みが出たりするようになります。

しかし、初期の虫歯であれば適切な歯磨きやフッ素塗布などによって、歯の表面が硬くなって治る可能性があるのです。基本的には経過観察となりますが、複数の歯に初期虫歯が認められるなど、虫歯のリスクが高い場合は歯科医院の受診がすすめられます。

C(虫歯)

虫歯によって穴が開いている状態です。また、以前詰めた詰め物が外れている場合や治療途中の歯も含まれます。

Cがあると診断されたら、速やかに歯科医院を受診することが必要です。虫歯は進行すると痛みが出て、こどもが痛い思いをしてしまいます。どうせ生え変わるからと乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の形態や歯並びにも影響を与える恐れがあるので必ず治療を受けましょう。

・○(治療が完了している虫歯)

過去に虫歯になって、詰め物や被せ物で治療している歯です。

すでに治療済みの歯なので、問題ありません。

ただし、一度詰め物や被せ物をしている歯は虫歯の再発リスクが高いため、よく磨くようにしましょう。

歯茎に関わる項目

GO(歯周疾患要観察者)

軽度の歯肉炎が認められます。

歯肉炎は、歯と歯茎の間に汚れが溜まって、細菌感染を起こすことで生じます。軽度の歯肉炎では痛みはありませんが、歯茎が赤くぷよぷよした状態になります。GOであれば、毎日の歯磨きで歯の根元を意識して優しく磨いていくことで、健康で引き締まったピンク色の歯茎に戻すことが可能です。

G(歯周疾患要処置者)

歯茎が歯肉炎で、歯石がついている状態です。

歯科医院でクリーニングと歯石除去を受け、正しい歯磨きの方法を学ぶ必要があります。こどもなのでほとんどが歯肉の炎症のみですが、放置すると将来的に歯周病のリスクが高まるため、今のうちに正しい歯磨き習慣と生活習慣を身につけるようにしましょう。

歯垢に関わる項目

前歯に歯垢がついているかによって判断されます。

前歯に汚れがある場合は、家庭での歯磨きや食生活に注意する必要があります。最も目につきやすく、ブラシが当たりやすい前歯に歯垢が残っているということは、歯磨きの方法に問題がある可能性もあるでしょう。虫歯や歯周病を予防するためにも、歯科医院で歯磨きの仕方を確認してもらうことをおすすめします。

顎関節症に関わる項目

口の開きにくさや顎の痛み、口を開けたときに音がするといった顎関節症の症状についてのチェック結果です。

痛みや開口障害(指2本分も開かない)がある場合、歯科医院への受診が必要です。

歯並びに関わる項目

歯並びや噛み合わせに問題ないか確認します。次のような歯列不正が認められる場合は、歯科医院での相談が必要です。

〈検診で指摘される歯並び〉

・上顎前突:いわゆる出っ歯のことで、上の前歯が前方に突出した歯並び。

・下顎前突:いわゆる受け口のことで、上の前歯より下の前歯が前方に出た歯並び。

・叢生:歯同士が重なってガタガタになった歯並び。

・開咬:上下の前歯が噛み合わず、すき間ができた歯並び。

・正中離開:最も手間にある大きい前歯同士の間にすき間がある歯並び。

・過蓋咬合:上の歯列で下の歯列がほとんど見えない状態の歯並び。

そのほかの項目

・粘膜の異常(粘膜にできものがある)

・小帯の異常(小帯の形に異常がある)

・過剰歯(通常より多い歯)

・先天性欠損(生まれつき永久歯が足りない)

・癒合歯(隣の歯同士がくっついて1つの歯になっている)

・エナメル質形成不全(歯の表面のエナメル質が少なく、虫歯になりやすい歯)

要注意乳歯と指摘されたときの対処法

オレンジの背景の前に歯のキャラクターが並んでいる

要注意乳歯を指摘された場合は、歯科医院で抜歯してもらいましょう。

歯科医院ではレントゲン写真で永久歯の成長具合を確認してから、抜歯を行います。抜歯と聞くと不安に思うかもしれませんが、乳歯の抜歯は短時間で終わります。麻酔で痛みもないため、無理にこども自身で抜こうとするよりも痛みを抑えられます。

また、自力で無理矢理抜こうとすると、歯の根だけが残ってしまうこともあるので、歯科医院で抜歯してもらったほうが安心でしょう。

乳歯がなかなか抜けないお子さんの中には、永久歯がもともと存在しない先天性欠損が起こっている場合があります。

先天性欠損は、生まれつき永久歯の数が足りない状態のことです。レントゲン写真を撮影することで、歯茎の中に永久歯があるか確認できます。

先天性欠損は歯並びや噛み合わせにも影響するため、早期に発見することが大切です。要注意乳歯は先天性欠損を発見するきっかけにもなるため、必ず歯科医院で診てもらうようにしましょう。

歯科医院での治療や相談はお早めに!

要注意乳歯を指摘された場合は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。特に、横から永久歯が生えてきているのに乳歯が残っている場合は、永久歯の虫歯や歯並びに大きな影響を与えます。

乳歯がまったく動いてない状態のほか、グラグラした状態が長期間にわたる場合もスムーズな生え変わりができていないため、歯科医院で抜歯してもらったほうがよいでしょう。

検診をきっかけに定期受診をしましょう

こどもの健康な口を守るため、定期的な歯科医院受診をおすすめします。

こどもの歯から大人の歯へ生え変わる時期はさまざまなリスクを抱えています。生えたばかりの永久歯は歯質が弱く、虫歯になりやすいです。また、歯の生え変わりの時期は歯並びに影響します。定期的に歯科医院を受診することでトラブルの早期発見を心がけましょう。

学校検診で十分ではないかと思う親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、学校の検診では、限られた時間と器具で生徒全員の口の中を診ます。また、明るさが十分でないことも多く、見落とされることがないとは言い切れません。歯科検診をきっかけにして、定期的に歯科医院でお口の中を診てもらうと安心です。

まとめ

歯の治療を受ける女の子

要注意乳歯とは、グラグラしているような抜いたほうがいい乳歯のことを指します。要注意乳歯を放置すると、虫歯になりやすくなる、永久歯の歯並びにも影響を与える可能性があるのです。検診で指摘された場合は歯科医院で相談して、必要があれば抜歯をするようにしましょう。

少しでも気になることがありましたら、柏の歯医者「ウィズ歯科クリニック」までお気軽にご相談ください。ご連絡をお待ちしております。

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