入れ歯とオールオン4、どちらを選ぶべき?

皆さん、こんにちは!イオンモール柏の向かいにあるウィズ歯科クリニック国際口腔インプラント学会認定医の小川です。
歯を失ったとき、多くの患者さまが「入れ歯にするか、それともインプラント治療の一つであるオールオン4にするか」で悩まれます。入れ歯は歴史が長く、取り外しができる点からも広く普及していますが、見た目や噛む力に課題を感じる方も少なくありません。一方、オールオン4は少数のインプラントで全ての人工歯を支える新しい治療法として注目を集めています。本コラムでは、入れ歯とオールオン4の違いを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説しながら、どちらを選ぶべきかを詳しくご案内いたします。
入れ歯とオールオン4の違いは?

まずは両者の基本的な仕組みを整理しておきましょう。入れ歯は、歯茎の上に人工の歯を並べた義歯を装着する方法です。部分入れ歯では金具を残存歯にかけ、総入れ歯では歯茎に吸着させて支えます。取り外しが可能である一方、安定性に欠けることがあり、違和感を覚える患者さまもいます。
対してオールオン4は、上下いずれかの歯列を4本のインプラントで支える固定式の義歯です。外科手術が必要となるものの、しっかりと固定されるため、自分の歯に近い感覚で噛むことができ、見た目も自然です。
入れ歯とオールオン4を徹底比較

◎見た目
入れ歯は構造上、人工歯と人工歯肉を一体化して作る必要があるため、歯茎部分に厚みが出やすく、発音や表情に影響を及ぼすことがあります。また部分入れ歯の場合、金属のクラスプ(バネ)が残存歯にかかるため、笑った際に金具が見えてしまうことも少なくありません。こうした点は審美性の低下だけでなく、患者さまの心理的な負担につながります。
一方でオールオン4は、インプラント体を歯槽骨に埋入し、その上に人工歯を固定する仕組みのため、余計な厚みを加える必要がありません。歯茎ラインも自然に再現できるため、歯肉退縮の状態に応じて調整が可能です。審美補綴学の観点からも、天然歯に近い口元を取り戻しやすい治療法といえます。
◎噛み心地
入れ歯は歯茎の粘膜で咀嚼力を受け止めるため、噛む力は天然歯の約2〜3割程度に低下するといわれています。硬い食品をしっかり噛み切ることが難しく、結果として食事制限を余儀なくされるケースが多いです。咀嚼効率の低下は、摂取することのできる食品の種類が限られ、栄養状態の悪化につながる可能性があります
対してオールオン4は、インプラントを通じて直接顎骨に力が伝わるため、天然歯に近い咀嚼力を再現できます。特に下顎では顎骨の形態が入れ歯の安定性に影響しやすいですが、オールオン4では骨にしっかり固定されるため、硬い食材や繊維質の多い野菜なども噛みやすく、消化機能や全身の健康維持に大きく寄与します。
◎寿命
入れ歯は歯槽骨の吸収により適合が徐々に悪くなるため、平均して3~5年で再製作や大幅な調整が必要になることが多いです。特に総入れ歯の場合、骨の吸収速度に合わせてリラインや再作製を繰り返すことになります。
オールオン4では、インプラント体が骨と結合する「オッセオインテグレーション」が得られれば、長期的な安定性が期待できます。適切な口腔衛生管理と定期的なメンテナンスを行えば、10年以上機能する症例も数多く報告されています。また、人工歯部分は摩耗や破損に応じて交換が可能であり、システムとしての耐用年数は入れ歯を大きく上回ります。
◎健康への影響
入れ歯に歯根がなく、噛んだときの力が骨に伝わりにくいため、長期間の使用によって顎堤の骨吸収を加速させることがあります。骨量が減ると入れ歯の安定性はさらに低下し、悪循環に陥りやすいのが課題です。また、噛みにくさから咀嚼回数が減り、消化不良や低栄養のリスクも報告されています。
一方、オールオン4はインプラントが骨に機械的刺激を与えるため、骨吸収の進行を抑える効果が期待できます。これは「機能的負荷による骨の維持」という生理学的メカニズムに基づいています。また、しっかりと噛めることで脳への刺激が増し、認知症予防に寄与する可能性も指摘されています。全身の健康を考えた場合、オールオン4のメリットは非常に大きいといえます。
◎費用
入れ歯は保険診療の範囲内で作製でき、初期費用を大きく抑えられるのが最大の利点です。ただし、保険適用の入れ歯は素材や設計に制限があり、見た目や装着感に不満を抱く患者さまも少なくありません。自費診療の入れ歯を選択すると、審美性やフィット感は改善されますが、数十万円の費用がかかることがあります。
オールオン4は全て自費診療となり、一般的に200〜400万円程度と高額です。しかし、頻繁な作り直しが不要であること、また生活の質が大きく改善することを考慮すると、長期的な費用対効果は決して低くありません。単なる「支出」ではなく「健康と生活の投資」として捉える価値のある治療法といえます。
◎外科処置の有無
入れ歯は外科的な手術を必要としないため、心疾患や全身的なリスクを抱える方でも対応が可能です。手術への不安が強い患者さまにとっても安心して選択できる治療法です。
オールオン4はインプラント手術を伴いますが、近年ではCTによる三次元診断やガイドサージェリーの発展により、低侵襲で高精度な手術が実現しています。また、従来は骨量不足でインプラント治療が難しかった患者さまでも、オールオン4ではインプラントを斜めに埋入する技術を活用することで骨移植を避けられるケースもあり、適応範囲が広がっています。
入れ歯とオールオン4どっちがいい?

【入れ歯がおすすめな人】
◎外科手術にリスクがある患者さま
心疾患、糖尿病、骨粗鬆症などの全身疾患をお持ちの患者さまでは、外科手術による感染や合併症のリスクが懸念されます。そのような場合、外科処置を伴わない入れ歯は比較的安全に導入できる治療法です。
◎費用をできるだけ抑えたい場合
入れ歯は保険適用で製作できるため、初期費用を大幅に抑えることができます。高額な治療費を避けたい患者さまにとって現実的な選択肢となります。
◎高齢で介助が必要な方
入れ歯は取り外しが可能であるため、手指の動きが不自由な高齢者や介助を必要とする方でも清掃がしやすい点が利点です。介護の現場でも扱いやすいというメリットがあります。
【オールオン4がおすすめな方】
◎咀嚼効率を重視する方
オールオン4はインプラントを介して顎骨に直接力が伝わるため、天然歯に近い咀嚼効率を実現できます。入れ歯では噛み切りにくい肉類や繊維質の多い食材も食べやすく、栄養バランスを整えやすいことが医学的にも重要です。
◎顎骨の健康を維持したい方
インプラントは顎骨に適度な刺激を与えるため、骨吸収を抑制しやすいとされています。入れ歯で問題となる顎堤の吸収や変形を防ぎ、長期的に骨量を維持できる可能性があります。
◎生活の質(QOL)を向上させたい方
固定式で見た目も自然なオールオン4は、食事や会話におけるストレスを大幅に軽減します。心理的な安心感は社会的活動の維持にも直結し、認知症予防効果があると報告される「咀嚼機能の保持」にも寄与します。
◎将来を見据えて安定性を求める方
初期費用は高額ですが、入れ歯のように数年ごとの再製作が必要になりにくく、長期的には費用対効果に優れます。頻繁な調整を避けたい患者さまにとっても魅力的な治療法です。
まとめ
入れ歯とオールオン4にはそれぞれメリット・デメリットがあり、患者さまの全身状態や希望に応じた選択が大切です。入れ歯は費用面で優れている一方、見た目や噛み心地に制限が残ります。対してオールオン4は費用こそ高額ですが、見た目の自然さ、噛む力、長期的な安定性において優れており、生活の質を大きく改善できる治療法です。当院では患者さま一人ひとりに適した治療を丁寧にご提案いたします。
千葉県柏市のウィズ歯科クリニックでは国際口腔インプラント学会(ISOl認定医が三名在籍し、セカンドオピニオンや無料相談も受け付けおります。ご連絡をお待ちしております。
























