インプラントの寿命はどれくらい?長持ちさせるためのケア方法
皆さん、こんにちは!イオンモール柏の向かいにあるウィズ歯科クリニック国際口腔インプラント学会認定医の小川です。
インプラント治療は、失った歯を補うための優れた治療法で、見た目や噛み心地が天然歯に近いといわれています。しかし「インプラントは一生もの」と思い込んでしまう方が多いのも事実です。実際には、インプラントにも寿命があり、適切なメンテナンスを怠ると寿命が縮まってしまうことがあります。そこで今回は、インプラントの寿命や影響を与える生活習慣、長持ちさせるためのセルフケアや歯科でのメンテナンスについて詳しく解説していきます。インプラント治療を検討されている方、すでに治療を終えた方もぜひ参考にしてください。
インプラントの寿命について
インプラントは、歯を失った部分に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に被せ物(人工歯)を装着する治療法です。チタン製のインプラント体は生体親和性が高く、骨としっかり結合する性質があり半永久的に安定します。
インプラントは基本的に半永久的に安定しますが、歯ぎしりや喫煙などの悪習慣が重なると、寿命が短くなることがあります
一方で、インプラントは天然歯のように歯根膜(クッションの役割を持つ組織)が存在しないため、過剰な力が直接骨に伝わりやすく、負担がかかりすぎると骨の吸収やインプラント体の破損を引き起こすリスクがあります。また、歯茎や骨の状態が変化したり、歯周病に似た「インプラント周囲炎」を発症したりすると、寿命は著しく短くなることがあります。
インプラントの寿命を縮める生活習慣や口腔疾患
次に挙げる生活習慣や口腔疾患があると、インプラントの寿命が縮まりやすくなるため注意が必要です。
◎喫煙習慣
喫煙はインプラントにとって重大なリスク要因とされています。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させ、末梢の血流を著しく低下させます。歯茎(歯周組織)は非常に細い血管によって酸素や栄養が供給されており、この血流低下によって治癒反応が遅れ、骨とインプラント体の結合(オッセオインテグレーション)が不完全になる危険性が高まります。
加えて、喫煙者は歯周ポケット内の嫌気性菌が増殖しやすく、炎症が慢性化しやすいことが報告されています。これにより、治療後のインプラント周囲炎発症リスクは、非喫煙者の約2~3倍に増加するともいわれているため、治療前後を問わず、禁煙は寿命を延ばすうえで必須の条件といえるでしょう。
◎歯周病・インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯茎や歯槽骨に炎症が及ぶ疾患で、進行すると骨吸収が進み、インプラントの支持力が失われ、最終的には脱落につながります。歯周病(天然歯の支持組織が炎症を起こす疾患)と非常によく似た病態ですが、インプラントには歯根膜がないため、炎症が骨に直接及びやすいのが特徴です。特に過去に歯周病を患っていた患者さまは、口腔内の細菌叢がインプラント周囲炎の発症に寄与するため、発症リスクが高いとされます。現在では、歯周病原細菌の定期的なPCR検査や唾液検査を通じて、リスク管理を行う歯科医院も増えてきています。早期発見・早期対応がインプラントの寿命を大きく左右します。
◎歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばりは、インプラントにとって非常に有害な力の負荷を与えます。天然歯は歯根膜による微小な可動性がありますが、インプラントは骨と直接結合しているため、過剰な咬合力がそのまま骨に伝わります。慢性的な力の集中は、骨の微細な亀裂(マイクロクラック)を生じさせ、骨吸収を促進させることがあります。また、人工歯冠の破損やネジの緩み、上部構造の脱離といったメカニカルトラブルを引き起こすリスクもあります。ナイトガード(就寝時用マウスピース)はこれらの力を緩衝し、インプラントや周囲の骨を保護するための重要な装置です。
◎不十分なセルフケア
日常のセルフケアが不十分だと、プラーク(歯垢)の蓄積が起こり、そこに棲息する歯周病原菌がインプラント周囲炎を引き起こす原因となります。インプラント周囲は天然歯に比べて結合組織の構造が単純で、血管が少ないため、炎症が起こると回復しにくいという特性があります。そのため、徹底したセルフケアが求められます。ブラッシングはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯とインプラントの間や歯茎の境目の汚れを丁寧に除去することが必要です。さらに、マウスウォッシュや抗菌ジェルの使用は、プラークの再付着を防ぐ補助的手段として有効です。歯科医院で歯科衛生士から指導を受け、患者さま一人ひとりに合ったケア方法を習得することが重要です。
インプラントを長持ちさせるためのケア方法
インプラントを長持ちさせたいという方は、インプラント治療後に以下のことを実践してください。
◎日々のセルフケアを徹底する
インプラントを長持ちさせるうえで最も重要なのは、毎日のセルフケアです。歯みがきは歯茎の縁やインプラント周囲を丁寧に磨き、プラークを残さないことが基本です。磨き残しが多いと、歯茎の炎症が進行しやすくなります。
加えて、インプラント部分は歯間ブラシやデンタルフロスを使った清掃が必須です。とくにインプラントと歯茎の境目や歯と歯の間は汚れがたまりやすいため、適切なケア方法を歯科衛生士から指導してもらい、日々実践することが大切です。
◎定期検診とメンテナンスを受ける
定期検診はインプラントの寿命を左右する重要な要素です。患者さま自身では確認できない歯茎の状態や噛み合わせ、インプラント周囲の骨の状態を、歯科医院で専門的にチェックしてもらう必要があります。
当院では3~6か月ごとの定期検診を推奨しており、プロフェッショナルケアとして専用の器具を用いたクリーニング(PMTC)やインプラント周囲の歯石除去を行います。定期的なメンテナンスを受けることで、初期の問題を早期発見し、対応できます。
◎噛み合わせの管理
インプラント治療後は、噛み合わせの変化にも注意が必要です。時間が経つにつれて、周囲の歯の動きや骨量の変化により噛み合わせがずれることがあります。噛み合わせのずれはインプラントに局所的な過負荷をかけ、破損や骨吸収を招くため、定期検診での調整が必要です。
また、歯ぎしりや食いしばりがある方はナイトガードを装着することで、夜間の過剰な力からインプラントを守ることができます。
◎全身の健康管理
糖尿病などの全身疾患も、インプラントの寿命に大きく影響します。高血糖状態が続くと歯茎の免疫力が低下し、インプラント周囲炎が悪化しやすくなります。インプラント治療後も定期的な内科的管理を続け、全身状態を良好に保つことが重要です。
まとめ
インプラントは、天然歯に近い見た目や機能を回復できる優れた治療法で、半永久的に安定します。寿命を縮める要因には、喫煙や歯周病、歯ぎしり、セルフケア不足などがあり、これらを回避するための努力が必要です。インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアに加え、歯科医院でのメンテナンスや定期検診が不可欠です。
ウィズ歯科クリニックでは、患者さま一人ひとりの口腔状態に合わせたメンテナンスプログラムを提供し、インプラントを長く安心して使っていただけるようサポートしています。インプラント治療をお考えの方、すでに治療を受けられた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
千葉県柏市のウィズ歯科クリニックでは国際口腔インプラント学会(ISOl認定医が三名在籍し、セカンドオピニオンや無料相談も受け付けおります。ご連絡をお待ちしております。